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REI雑文工房内の雑記用blog。日記や散文、ゲームレビュー、掌編小説等を中心に活動中。2008.2/4設置
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 どーも。REIです。
 唐突ですが、この青空に約束を――(通称こんにゃく)の二次創作活動を始めましたー。
 あ、もちろんリトバスのSS活動は継続しますよ?
 とりあえず今月中に「きみに捧ぐ証」の続きと、恭介メインの壊れギャグ「グリーンリバーライト!」をUP予定ー。
 きみ捧証をずっと待ってた方、遅くなって申し訳ありません。
 12月にリトルバスターズのパーフェクトビジュアルブックを入手した際、考えていたプロットとリトバスの設定との間に致命的な矛盾点に気付きました。
 そのまま自分解釈で書いてしまえばいいもののプロットを練り直してしまったがための公開の延期です。
 あとは、ただ単に毎日遊び呆けていただけという究極のサボり癖が併発していたってのもありますが(ぉぃ

 そんなわけで、リトバスSSのほうは今しばらくお待ちくださいー。
 とりあえず、今は「この青空に約束を――」の初SSを公開しますー。
 こんにゃくSSは基本月ごとのテーマを決めての連作形態をとりたいと思います。
 どれだけ需要があるかはさておき、ですけど(汗


『One Year Ago
February Shizu』




One Year Ago
February Shizu

 


 二月。
 相変わらず寒いだけの日々が続くこの南栄生島に雪が降るはずもなく、俺は今日も“おこた”でぬくぬくと暖を取りながら静と遊んでいた。
「ろん。い~ぺ~こ~。んと、あと、赤いの2つ」
「お~、嵌張[かんちゃん]待ちのイーペーなんてやるじゃんか。実は玄人だろ」
「かんちゃん?」
「ほれ、その二,四萬で三萬待ちみたいに、間の数を待つことだ」
「ふ~ん」
「ちっ、萬子ばっか捨てるし、六萬もう切ってるしで油断したなぁ」
 ルールを覚えたばかりの静相手に少し油断していたようだ。
 涼しい顔――とゆーか、完璧なポーカーフェイスで手の内を読ませてくれない。このあたりがポーカーや大貧民の強さの秘訣なんだろうけど、まさか麻雀でもそのスキルを遺憾なく発揮するとは思わなかった。
 さえちゃんが癇癪ぎみに「か~て~な~い~っ」と唸るのが少し分かる。
「わたる~。もっかいやろ~」
「よぉし。じゃ、そろそろルールも役も覚えてきたことだし、満貫縛りでいこうな」
「しばり?」
「まー、満貫……五役くらいじゃないと上がれないってルールだ。符が四十超えてりゃ四役でも満貫になるけど、そこまで難しく考えなくっていいからな」
「ん~」
 静に麻雀を仕込んだのが正月明けのことだ。さえちゃんが猛反対していたけど、多数決で可決された。
 賛成3、反対1、無投票1。
 賛成の内訳は俺と静本人。それと「遊ぶならみんなのほうが楽しいよ」なんてことを嬉しそうに口にした万年最下位の幼馴染だ。
 もちろん、可決の決定打となったのがそいつの一言なんだけど、いざ静に麻雀を仕込むことになった途端、さえちゃんも、そして「お好きなように」と投票しなかった会長まで率先して静にルールを教えるものだから、まともに打てるようになるまでそんなに時間は掛からなかった。
 静が理系に強かったというのも嬉しい誤算だ。
 今ではさえちゃんや海己の代わりに点棒の計算もできるようになっている。
 まー、役を全部覚える前に符の計算ができるようになった奴を俺は生まれて初めて目にしたわけだが。

 こたつに足を突っ込みながら、静と向かい合って二人で打ち続ける。
 麻雀牌を綺麗に積み上げるなんて面倒なことはしないで、ジャラジャラと混ぜた山から適当にツモって(引いて)、先に上がったほうが勝ちという、子どもの遊びのようなルールだ。
「よし、今度は俺のツモだな。ツモ、タンヤオ三色のドラ1。満貫だな」
 と、二人で延々と山から牌を引き続けるもんだから、結構簡単に上がれてそれなりの役もつくというわけだ。練習にはうってつけだな。
「ね~、わたる~」
「んー?」
 ジャラジャラと牌を混ぜながら、俺は静の声に耳を寄せる。

「わたるはチョコすき~?」

 顔を上げる。
 こたつの上に敷いた緑色のマットに顎を乗せながら、静が言う。
 瞬間、今まで気にも留めていなかったカカオの甘い匂いが鼻に飛び込んできた。

「ああ。甘いもんは基本的に好物だ」
「そなんだ」

 二月中旬。
 もういくつ寝るとお正月―――なわけがなく、世に言うバレンタインデーだ。
 毎年恒例になりつつある雅文との「いくつチョコを貰えたか」なんていう馬鹿げた――しかし熾烈な争いや、隆史さんの最多レコードを塗り替えられるか(できるはずがない)といったイベントで盛り上がる日でもある。
 ちなみに去年は雅文に負けた。とある事情で俺がナイーブになっていたことと、ちょいとばかり海己から遠ざかろうとしていたこともあって、僅差で敗北を喫したのだ。紀子が雅文だけでなく俺にも義理チョコを渡していればイーブンだったものを……。
 と、まあそんな青っぽい涼水時代最後の思い出はともかく、今キッチンでは海己をはじめとする寮生会の女子がチョコレート作りに励んでいる。
 会長は教職員やクラスメイト、委員会の委員長や部活の部長への義理チョコ(地位向上のための賄賂とも言う)の大量生産状態に入っているし、海己は海己で、義理という言葉が抜け落ちた辞書の如く俺専用のチョコのみを作っていることだろう。
 さえちゃんは、約一年前まで学生だった気分が抜け切っていないせいもあってか「バレンタインデー」という言葉の響きだけで既にテンションが上がりきっていた。
 ……まー、それでさえちゃんがチョコを作るのか? と聞かれたなら俺は素直に首を振る。横に。そして「イイ男がいない~っ」と愚痴りながらの自棄酒に付き合うのはたぶん俺だ。
 んでもって、今俺の目の前にいるこいつはと言うと。
「静は作らないのか?」
「んー、いいや」
 あっさりとしたものだった。
 こたつの中で、足をぴんと伸ばしながらだれる静。胡坐をかいた俺の膝を、まるで足枕に見立てるようにして踵を乗せてくる。
「静。続きはどーする?」
「も、い~よ」
「そっか? 今まで遊べなかった分、今日はとことん付き合うぞ?」
「そいなら、わたる。いつもみたいに、話しして」
「おぅ、いいぞ」
 俺の返事を聞くや否や、静は後ろにぱたんと倒れた。
「おーい、静?」
 そして足元でもぞもぞと何かが動いたと思ったら、
「わぷぷ」
 俺の股からひょいと顔を出した。
「おい、こたつの中を潜って移動するのはナシだ」
「なして~?」
「こたつに潜るのは癖になるからだ。こたつむりになってみろ、一冬こたつから出れない身体になるぜ?」
「で~んで~んむ~しむ~し、こ~たつ~むり~」
 どこかで聴いたことのある歌詞を即興で口ずさみながら、静はちょこんと俺の膝の上に腰を下ろした。
「わたる、話せ~」
 静は寄りかかるようにして俺の胸に背中を預けて話を催促する。
 「へいへい。んじゃ、いつも通り俺の友達の話な。……そうだな、今日は2037番目の友達の話でも」
 つい先月の頭、つぐみ寮にやってきた、海己に匹敵するほどどんくさいヤツ―――六条屋敷のじいさんのお孫さん。
 また遊びにこね~かなぁとか、なんか妙に静と気が合ってたよなぁ~、とかそんな話をしているうちに。
「……すぅ……すぅ」
「寝ちまったか」
 この猫のような気まぐれを具現化したような少女は、一度眠ってしまったらちょっとやそっとじゃ起きやしない。
 俺は、そんな静かに寝息を立てる静の頭にぽんと手を乗せ、

「よく頑張ったな、静」

 労いの言葉を、送ってやった。

 今日。
 高見塚学園の入試の日。
 静は、今までずっと勉強を頑張ってきた。
 文系は海己に、理系は会長に。ど~でもいい無駄知識は俺とさえちゃんに(余計だと会長に怒られた)教わりながら、ひたすら俺達の通う、高見塚学園への入試試験に向けて努力を重ねてきた。
 もちろん、終始嫌そうな顔をしながら、だけど。
 けれど、静には何が何でも高見塚に合格しなければならなかった。
 それが、静が俺達と一緒に―――これからもこのつぐみ寮で暮らしていくための条件だった。
 だから、頑張った。
 つまんない勉強も。
 そして、何より。
 不登校だった静が、入試のために、人ごみで溢れかえる(と、言っても40人に満たない程度の人数だったらしいが)会場に行き、たった一人で試験を受けきるということを。
 今日のつぐみ寮は、合格発表もまだ先にもかかわらずお祭り騒ぎのようだった。
 皆で、静の帰りとその成果を喜び合ったものだ。
「まぁ、合格してるかど~かは別としてな」
 南栄生島は、出水川重工の撤退のせいで人口は減っていくばかりだ。そして高見塚は、島内で唯一の学園である。
 受ければ誰だって受かるようなものだと教師である自覚ナシのさえちゃんは言っていたけど。
 遊びも話も我慢して頑張ったんだし、さ。
 バレンタインデーなんていう、今まで無関心だったイベントに目をぎらぎらさせながら、それでも試験を優先して、こうして疲れきって帰ってきたんだし、さ。
 ちょっとくらいは、報われてもいいんじゃね~の?
「来年はゆっくり、海己の手伝いでもしながらこのイベントを楽しめばいいさ」
 高見塚学園の後輩として。
 そして変わらず、つぐみ寮の仲間として。
 “つぐみ寮の子”として。
「あ~、娘からの義理チョコを期待する親の心境ってこんなもんなんかなぁ~」
 思わず苦笑い。
 こいつが俺にチョコ渡すことになっても、絶対その意味を理解してるとは思えない。
 義理と本命の違いについてとかを考えながら?マークを浮かべていそうだ。
 
「……けどなぁ~」

 思わず、ひとりごちる。
 仮に、静が高見塚学園に合格したとしよう。
 けれど今、つぐみ寮は存亡の危機にある。
 来年度。
 この寮に残る寮生は、俺と海己、会長の三人。
 静を加えても、寮生はたったの四人しか残らない。
 寮生が五人を割った場合……この寮は、即廃寮になる。
 つまり、今の三年と、転校していってしまう良太や恵介といった男子寮の奴らが寮を出て行く、卒業式の日に。
 新入生を待たずして、つぐみ寮の廃寮は決定してしまう。

「―――ま、何とかするさ」

 要は、卒業式までに来年度入学する予定の生徒を寮に引き込めばいいのだ。
 不本意だけど、できるなら男がいいな。
 このままだと、四月の時点で寮に残る男は俺一人になって、男子寮だけ閉鎖、なんてことになりかねない。
 まさか、男の俺が女子寮を利用するわけにもいかないだろ?
 ……まぁ、去年の時点でまかないさん他従業員を解雇した上男子風呂をなくしちまったんだから、今更何が起こっても驚かないとは思うけどな。

 苦笑ついでに、もう一度、静の髪を掬うようにしてその頭を撫でてやる。
 やっと、周囲に対して関心を持つようになったんだ。
 心を開いてきているのだ。

「なんとかするから、な」

 ま~、もっとも。
 何とかするよりも先に、まずは学年末試験を乗り越えなきゃならんわけだが。
 留年して静と同級生になるなんて展開、俺はゴメンだぜ?

 いや、マジで。

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日々ぼんやりと過ごしながら細々と物書きの真似事をする暇人。現在「リトルバスターズ!」の二次創作を中心に活動中。
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